西炯子は大好きな漫画家である。綺麗な絵も少し影のあるストーリーも好きだ。デビュー単行本の「天使にならなきゃ」からほぼリアルタイムで読んでいる。「三番町萩原屋の美人」あたりまで知る人ぞ知る人気漫画家だったと思うが、この「娚の一生」で決定的にオーバーグラウンドに出ていった印象だ。
初老の大学教授との恋愛ストーリーは結構新しい切り口だし美麗な絵が世間に受けたのだと思う。私も単行本の発売日を楽しみに待ち焦がれながら読んでいたのだが、ここから「姉の結婚」を経て、西炯子の作品からかつての仄暗さはなりを潜めてしまった様に思う。近頃は西炯子の新刊を追うのを止めてしまった。この作風の変化は円熟味と捉えた方がいいのだろうか、分からないが私は久しぶりに「STAY」を読み泣いてしまったし「9月 -September- 」は一生手放さないと思う。