365日のIN/OUT

アラフィフの女が毎日モノを捨てる日記。2年目

Day93: 本「決壊 下」平野啓一郎

OUT# 93 本「決壊 下」平野啓一郎

就職しだんだん本を読まなくなり、スマホを持つようになると更に本を読まなくなり、そこに育児が重なると、もう本を読む精神力・集中力がなくなってしまった。読む本より買う本の冊数が上回り、いわゆる積読が増えるばかりの日々だった。

ようやくフルタイムの仕事を辞め、時間ができ読書を再開した。長らく読書から離れており、本を開くまで時間がかかる。学生の頃は傍に本、少し時間が空けばすぐ読書という行動パターンだっが、今はその位置はスマホに取って代わられている。読むぞ!と自分をモチベートして本を開く。なかなか物語に入り込めない。でも読み進めると勢いがつき、次第に物語を追うのを止められなくなる。そうしてこの本も下巻は一気に読み切った。

呆然とした。多少の問題・悩みはあれども、ごく普通の家族が突然の惨劇に巻き込まれ、精神的に狂っていく。主人公の明哲な思考を持ってしても、全ては矩から滑り落ちていき、崩壊する結末に直走っていく様子に無力感を覚えた結末だった。

善良とされる人でも持つ多少の暗い感情・過ち、それは自分にも覚えのある事である。改めてだが日常は絶妙なバランスを持って日常を保っているのだな、と少し怖くなった。

人間関係の勝ち筋のみを選べる主人公であっても、不条理な悪意には太刀打ちできないのだから。